タイの洪水の話(1)工場浸水まで:日本の常識とタイの常識は違う

ものづくりの話

2011年10月 わたくし46歳の時、タイですごい洪水があり、

この時、私の担当していた工場も被害にあい、建物の中で約1.6m浸水しました

工場の周りの街はこんな感じで

工場はこんな感じ

写真の手前に写っているのはボートです

水が引くまでに、約2か月

その後

多くの人の努力で、工業団地内で最速の復旧を行うことができました

洪水~復旧までの経緯とその中で経験したこと、学んだことを

ブログに残したいと思います

今回は洪水の情報を聞いた時から、浸水までついて、話しします

洪水の情報が届き始めた

2011年9月の初めごろから、

「チャオプラヤ川上流のダムがヤバい」

の情報が流れていましたが、

「特にすごい雨が降ってるわけでもないし、何言ってんの?」

ここで、すでに日本の常識で考えていました

その後、9月末に突然、

「上流の工業団地が洪水になり、サプライヤーからの部品が届かない」

の情報が入ってきました。

「一体何が起きているの??」

さっぱりわかりません。

従業員に効いても、普通に

「洪水が発生したみたい」

な感じで、的を得ません

どうも、

タイで建物が水に浸かるのはよくあることみたいです(*_*)

タイは、高低差が少ないため、水路の排水をポンプで行います

もし、ポンプの排水能力が超える水が流れれば、簡単に洪水になるようです

ただ、洪水の頻度とレベルはよくわかりませんが

学び1:タイでは洪水はよくあること

ただし、今回の洪水は超異例で、さすがのタイ人も予想できていなかったみたいです

洪水の原因

ここで洪水の原因を簡単に述べておきます

タイは10月まで雨季で、スコールのような雨がよく降ります

この年は、例年より雨が多く、

9月はじめくらいから、ダムの貯水量がかなり多くなっていたようです

バンコクの真ん中を流れる大河、チャオプラヤ川の上流には、

たくさんのダムがあります

ただ、これらのダムはの用途は、

「治水」ではなく「灌漑」

をメインしているところが大きなポイントです

タイの人たちは、マニュアル通り仕事をすることを非常に大切にしますので

「灌漑」目的として、水をひたすらに貯めました

そして、気が付いたらダムに水があふれそうに貯まってるではありませんか(*_*)

慌てたダムの管理人は、水を放流します

それも、チャオプラヤ川の排水能力をはるかに超えた水の量を(*_*)

マジか!! って感じです

これで、洪水にならない方が不思議です

結局、大量の水が川からあふれ出し、上流から次々に街が水に浸かってしまいました

学び2:タイの人は職務に忠実

最終的には私が住んでいたバンコク都心の浸水は免れましたが、

結構近く近くまで水が来ていて(車で15分も上流側に走れば水浸しでした)

当時は結構、ドキドキしました

毎朝、アパート窓から道路を見て、

水が来ていないことを確認してホッとしたことを思いだします

今は、雨季の後半になると、ダムの貯水量の情報がアナウンスされているようです

これが続いている間は、同じ原因での大洪水は起きないでしょう

少し上流の工業団地が浸かり始めました

最初のサプライヤーさんの工場が浸かった情報あってから

10日ぐらいたった後、車で30分ぐらい上流の工場団地が次々と浸かり始めました

浸かったって表現では正確ではありません

水没した

というのが正しい表現です

HONDA、Nikon、Panasonicなど、

日本を代表する大手企業もなすすべなく、水没です

さすがに、自分の工場もヤバいと感じて情報を集めますが、

水がどのような状態が、全くわかりません

学び3:タイの政府はなぜか情報を公開しない

   いまだに、この理由はわからないが、個人的には政府のミスを認めたくないからと感じています

唯一の情報は、近くに流れる小さな川の状況です

確認に行くと、かなり水かさが増し、ヤバそうな雰囲気です

数日工場を動かしましたが、水の量が減る気配なしなので、

工場をいったん止めることを決断!!

工場の門には土嚢を積み、侵入を防ぐ対策をし、

軽量物は2階にあげ、

(ダダ、当方2階が狭く、ほとんど上げることはできなかったですが)

でも、主だった設備は1階のそのままです

これは正門の状況

こんな感じで、浸水防止しました

遂に浸水

それから数日、水は工業団地内に浸水してきません

川の水も変わらず、

2011年10月18日

関係者を集め、工場の稼働をどうするか検討しました

その場では

「明日まで様子見て、変化なければ再稼働」

との判断

そして、その会議を終えて、帰りかけたころ

「工場団地内に浸水、急ぎ非難すること」

との情報

いやービックリ (*_*)

ほとんどの従業員は出社していなかったので、数人だけで無事脱出できたのですが、

工場責任人者として、最後に出ようと残っていたら、

ローカルトップのGMが

「日本人は早く出てください、タイ人は洪水に慣れてますし、

 我々の家はこの近くです。あとは、我々でやっておきます」

との、厳しい声

確かに、道路の排水溝からは水が噴き出し、

見る見るうちに水が溜まっていきます

バンコクまで戻ることができるか不安になりました

(バンコクまで約50kmくらいです)

私は、ここまで来たら、なすすべなしと判断し、

工場を後にしました

ちなみに、結局、彼らローカル社員の家はほとんど水に浸かり、

少し高い土地に家がある知人や、アパートの2階より上に住んでいる知人の家、

もしくは田舎に帰って生活をしてたようです

学び4:タイの人々は本当に思いやりのある人たちだ

    タイ生活9年の間で何回も感じたことであります

帰る途中、大渋滞

水は排水溝から逆流してどんどん出てくる

水が車にエンジンルームに入ってきそうな勢い

「いつ車が動かんようなるやろー」

と思いながら、

水の少なところを迂回しながら、

何とかバンコクにある自宅にたどり着くことができました

最終的に、土嚢を積んだ対策は全く役に立たず、

道路で2m近くたまった水は、工場の壁を壊し

遠慮なく浸水

工場内で約1.6m浸水し、すべての設備が水に浸かりました

工場の外はこんな感じ

この状態が約2か月続きます

今回は、ここまで、

次回は、浸水後の活動についてレポートします

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