生産現場の生産を測る指標、何を使うか悩むことありませんか?
完璧な指標はありませんが、それぞれの指標の特徴を理解して、それぞれの現場にあった指標を使うのがポイントと思っています
注1)この記事は設備の生産性ではなく、人による組み立て工場の生産性改善を対象にしていますので、その前提で読んでください
注2)生産性を追いかけることは企業の経営上重要なことですが、それ以上に重要なことは、確実に、納期通りにお客様に商品を届けることです
生産性の改善を何で測る
「生産性を改善します」工場では普通に話することです
そこでの確認は
「その生産性の改善ができているか、活動の成果は何で測る?」
つまり指標=KPIですね
会社によって、部署によって、人によって結構変わります
私は、人生産性に関しては
生産金額/人員/時間(円/Head/Hour)
を使うようにしています
他にも
直接業務従業員の人件費/人件費率
単に人員数
生産能力
組み立て工数(標準時間)
作業効率(標準時間通りに生産できているか)
稼働率
生産台数/人/時間
付加価値/人/時間 等々
イロイロです
どれも完全に否定するものではありませんが、環境/条件によって受ける影響が大きく、私個人としては工場の生産性を測る指標としては、ベストではないかと感じています
「生産金額/人/時間」が完ぺきとは思っていませんが、一番環境/条件に影響を受けにくいと考えています
大事なことはそれぞれの指数の特徴を理解して使うことです
〇直接業務従業員の人件費/人件費比率
人件費の削減が生産改善の直接的な目的ですが、
(実際は人件費だけだなくQCD全体の改善につながります)
・生産に比例しない固定費部分が大きいため、生産額の影響が出やすい(生産が少ないと悪くなる)
・給与や残業、昇給によって触れる
改善を測るにはノイズが多すぎるかと考えています
〇単に人員数
わかりやすいのですが、単に人を減らしただけで生産を減らしたら意味ないです
〇生産能力
単に生産能力増やすだけなら、人を増やせば増えます
人当たり、時間当たりの生産能力を見る必要があります
〇組み立て工数 (標準時間)
製品を1台組み立てるときに必要な時間ですね
標準時間とも言って、コストを計算する場合に用います
ただ、組み立て工数を減らすことも重要なのですが、ボトルネック工程が途中にあれば、いくら工数を減らしても生産性は改善できません
〇作業効率(標準時間通りに生産できているか)
これも重要な指標ですが、標準時間の取り方によって、簡単に良くすることができます
変な標準を設定すると100%超えますし、標準時間を短くすると悪化します
頑張って短い時間で組み立てられるようにすると、悪化するのも嫌な指標ですね
〇稼働率
工程を止めずに、決められた時間内に動いているかを測ります
部品が切れたり、品質ロスや設備トラブルにより工程を止めないことが重要です
ただ、生産数量を加味していない指標であることを理解しなければなりません
ユックリ動かし続けても、よくなる指標となります
これらを補う指標として、主に設備稼働を測るときにOEEという指標を使うこともあります
作業効率や不良率まで加味した良い指標なのですが、人生産性を測る場合は使いにくい気がしています
日々の生産の未達成理由を明確にし、改善するには便利かとは思います
〇 生産台数/人/時間
この指標は、私がベストと考えている「生産額/人/時間」と非常によく似て使いやすい指標です
ただ、簡単な製品を多く生産すると向上しますので、経営成績(販売や利益)への影響となると物足りません
ただし、私は現場のリーダークラスの人の改善活動を測る場合、この指標を使います
〇付加価値/人/時間
経営の観点から言うと、この指標がベストかもしれません
欠点は少々面倒くさい、「付加価値」というのがわかり難い/イメージし難いのが欠点と考えています
生産額/人/時間
ということで、私はこの 生産額/人/時間 を生産性の指標(KPI)として使っています
「生産性良くする」ということを言い換えれば、
「少ない人使って少ない時間で沢山生産する」
と考えると、 生産額/人/時間 がそのものの数字になると思います
本来の企業のあるべき姿としては
「付加価値額/人/時間」もあるべきと思いますが、ちょっと難しいですよね
生産額/人/時間 の指標も完ぺきではありません
生産する製品によって金額が変わりますし、必要な組み立て時間や人も変わります
また、生産数量や金額によっても影響を受けますので、完全に生産性を表現しているとは言い切れません
とはいえ、これらの特徴を十分理解したうえで考察すればすれば、他の指標に比べたら、かなり使い勝手良い指標です
生産額/人/時間 を向上させる次の指標
生産性改善の方法について語りだすときりがないので、生産額/人/時間を改善するために着目するべき次のレイヤーにあたる指標の説明だけします
・生産額
・稼働率
・能率
・人員
・タクトタイム
4つになります
〇生産額
ほかの指標を良くしても、生産を減らしては 「生産額/人/時間」 は向上しません
〇稼働率
いかに工程を止めずに動かすかを表す指標=品質問題、部品切れ、設備トラブルを発生させないことがポイントなります
〇能率
決められた時間どうりに生産できているかの指標
新人が入ったり、難しい作業があると悪化しますね
〇人員
いかに少ない人数で生産するか=そのままですね
〇タクトタイム
組み立てラインで、何秒に1台完成品ができるかを決める指標です
少ない時間=少ないタクトタイムで生産できれば生産台数が増え、生産性はよくなりますね
この4つの指標に着目し、 「生産額/人/時間」 向上させること=工場の生産性の向上です
まとめ
人が組み立てる工場を前提に「生産性を改善する」ことを測る考え方を中心に話してきました
きわめて基本的なことですが、もし「わかりやすい」と思っていただければ、皆さんの工場の現場で使ってみてください
「ほんで、どないやったら生産性は改善できるんや」という話も今後少しづつ書いていきます
参考記事です
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