工場の資材在庫を適正化する方法:不要な在庫の破棄と納期通りの納品がまず第1歩

ものづくり

工場の現場で生産性を向上させるためには「在庫に注目」です!!

工程改善は在庫に着目!「在庫は悪」なのか:工場としての能力を高めることによって在庫を減らそう
現場の生産性の改善活動で、着目する要因が多すぎて優先順位を決めかねている担当者もいるかと思います。そんな時、まず優先するべき項目として「在庫管理」から取り組んでみてはどうでしょう。在庫は工場の能力を測る指標と考えます。

在庫を最適化することで、現場のオペレーションは確実に効率化します

そして、在庫の適切化は組織全体の活動でなければできませんので、工場の組織力の有益なKPIとして使えます

とはいえ

「在庫の適正化!! わかっているけど進まない。それで困ってます。はぁ~~」

と感じている工場の責任者の方も多いかと思います。

なぜ、在庫管理の改善が進まないのか?「在庫過多によるロスがあっても現時点困らない」の意識を変える
在庫管理が不十分な工場はたくさんあります。現場責任者と話をすると、その必要性と重要性を認識しながらも、なぜか改善に手にけない。その原因として結局は、突き詰めると「在庫が管理できていなくても、現時点に困ることがない」ことになります

今回は、在庫適正化の一歩目の活動として、「不要な在庫の破棄」と「サプライヤーからの納品管理」ついての話です

注:トヨタのような「カンバン」方式が定着して、必要なモノを必要な時に届く仕組みができている会社には関係ない話です

資材在庫管理の現実

サプライヤー、完成品会社に限らず、量産型の工場を見学する時に資材(部品・材料)倉庫をいつも見学させてもらいます

その管理状態は、その工場の実力を把握する参考になるからです

現実、「在庫管理ができていない会社はまだまだたくさんある」と言うのが私の印象です

なぜ、そのようなことになるのか

簡単に言えば

「必要なモノを必要な時に納品してもらう」

これができないからです

「これができんから困ってるんやんケ」

って声が聞こえてきそうですが、なんでできないか考えてみましょう

「必要なモノを必要な時に納品してもらう」ことができない理由

長年、在庫管理について取り組みを行い、仕組化ができている会社には「なんでできんの」みたいな話ですが、ホントできない会社はできないのです

まともな会社でしたらITシステムで生産計画に合わせて部品必要量を出して、発注、発注もシステムを使って自動的にできる仕組みはできています

その、発注通り(納期、数量)、注文した部品が納品されれば在庫管理に問題が発生することはないと普通に思えます

でも、資材倉庫を見たら、全く管理されているない在庫の山ってよく見かけます

「なんでこうなるのか?」

この質問を購買担当者した時の答え

・生産計画が急に変更になった(特に生産が遅れた)

・MOQ(最小発注単位)と必要量の差

・デリバリー回数が少なく、1回の納品量が多い(特に輸入部品)

この答えが一番多いでしょうか

もう少し、深堀してヒアリングすると

・リードタイムが長く、減産時のキャンセルができなかった

・システム内の安全在庫の日数の設定を多めに設定していた
  (使用予定日よりかなり前に納品指示)

・材料切れを恐れて、マニュアルで追加発注をしていた
  (プラスチックや金属の材料系が多いですね)

こんな答えがでてくるでしょうか

確かにこれら問題は必要以上の在庫を持つ原因であり

それぞれMOQや安全在庫、デリバリー回数を適正化したり、リードタイムの短縮化、生産計画の平準化等、地道な活動を行い在庫を適正化することは重要です

しかし、これらを正しい姿にしても減らない会社は減りません

資材在庫を減らす、最も早く簡単にできる対策

わたしは、多くの資材倉庫を見ていて、その最大の原因でありながら、すぐにに対策できる問題が二つあると感じています

1.不必要な在庫を捨てない

2.発注(PO)より多い数量や納期前納品された部品・材料を受け取る

この二つです

1.不必要な在庫を捨てない

皆さんの工場の資材倉庫を見てみてください

半年、さらには何年も前に納品され使用していない部品や材料が残っていませんか?

私は、ホコリを被ったふる~い資材を倉庫の隅で数多く見てきました

その理由はイロイロですがここでは省略

倉庫の担当は、彼らだけの判断でこれらを捨てることはできず、指示を待ちます

でも、自ら、古い在庫の処分を訴えることはありません

彼らの仕事は資材を保管することだからです

もし、処分を訴えても、万が一必要な資材なら、叱られる可能性があるのも理由でしょう

しかし、半年も使わず放置される部品ははっきり言って、作業性を劣化させる単なるロスでしかありません

経理的にはある程度年月を経過した在庫は、評価減を行っているはずで、廃棄してもPL(損益計算書)上のロスにはなりません

ですので、捨てても経理、収支的に問題になることはありません

でも、誰も倉庫の奥にホコリをかぶっている資材に興味はなく、ただ放置されているのが現状です

今すぐ、動いていない在庫は捨てましょう

捨てるだけなら、簡単で決済取れば、今日でも可能です

2.発注(PO)より多い数量や納期前に納品された部品・材料を受け取る

これ、「サプライヤー側」と「受け取る側」両方の問題があります

サプライヤーは、作ってしまった製品(受け取る側にとっての部品・資材)は、自分の会社に在庫しておくは嫌なのでできるだけ早く納品したくなります

ので、半ば強引に配達し、顧客側に受け取らそうとします

それが、POの数量を超える場合でも、納期よりかなり早い場合でも納品しようとします

また、受け取り側も、断って相手に嫌な顔をされるのがイヤで、数量以上の納品、納期より早い納品を受けれてしまいます

計画通りの納品率をKPIとして管理してれば、ある程度防げますが、管理しにくいKPIとしてあまり見ていない会社が多いようです

でも、PO通りでない納品を倉庫の受け入れで断われば、この問題は簡単に解決します

でも、それをしない現実があります

結局は在庫管理に対する意識の弱さ

私は、在庫が適切に管理されない最大の原因は、

「在庫が会社に多大なロスを生んでいることを自覚していないこと」

と考えています

上記の二つの問題は、意識すればできる話です

技術的な問題はありません

気持ちの問題です

しかし、在庫に対する認識が弱い現場は多いです

在庫が多くて生産が止まることありませんが、在庫が少なく部品が少ないと生産が止まることはあります

生産が止まるロスは見えるが、在庫が多いことによるロスはなかなか見えません

ですので、在庫を多く持つことに抵抗が薄くなります

この、意識を変えることが、生産性を上げる第1歩です

なぜ、在庫管理の改善が進まないのか?「在庫過多によるロスがあっても現時点困らない」の意識を変える
在庫管理が不十分な工場はたくさんあります。現場責任者と話をすると、その必要性と重要性を認識しながらも、なぜか改善に手にけない。その原因として結局は、突き詰めると「在庫が管理できていなくても、現時点に困ることがない」ことになります

まとめ

在庫が適切に管理できない理由について書きました

いろんな原因がありますが、まず最初に

・不要な在庫を捨てる

・PO通りではない納品は断る

この2点ができるように現場を教育することを提案しました

これにより、在庫に対する意識も変わり、いろんな改善が進むと考えています

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