工場の生産計画
1日の計画生産台数をどうやって決めていますか?
生産が遅れるのが嫌なので、余裕を持った計画立てていませんか?
これをすると、工程の問題点が隠れたり、改善意欲を低下する可能性が高くなります
1日の生産台数の決め方
私、海外の工場4社経験しました、驚いたことにどの会社も生産計画を立てるときの1日の生産量の決め方がバラバラでした
一般的に
製品を生産するのに必要な標準の時間(何秒毎に製品が完成するか)、通常タクトタイムと呼びますが、この時間をベースに1日の生産台数を決めます
生産台数=(稼働時間)/(タクトタイム)
ですね
タクトタイムが60秒で、生産工程が稼働する時間8時間だとすると
8時間(28,800秒)/60秒=480台
てな、計算です
しかし、まず、稼働時間に当たる時間に各社異なります
私が経験したのは下記の4つのパターンです
①休憩時間等決められた生産しない時間を除いたすべての時間を稼働時間としてタクトタイムで割って計算
②生産中に何らかの理由で生産が停止することを前提に、その停止時間(ロスタイム)基準時間引いて計算
(ロスタイム:品質ロス、部品切れロス、設備トラブルによるロス、製品切り替えのロス等があります)
これらのロスを例えば10%と見積もり、稼働時間を労働時間の90%にして計算するわけですね
③切り替えのロスだけを織り込み計算
各標品の標準切り替え時間が決められてその時間を引いて計算
以上がロスタイムの考え方による場合です
もう一つ、ロスタイムを除いた時間でも、タクトタイムを維持できず(生産に標準時間を超えて時間がかかり)生産が減ってしまうロスがあります
スキルの低い作業者や、やりにくい作業で作業時間にばらつきが発生する場合ですね
我々は、能率と呼んでいます
(稼働時間)/(標準タクトタイム)=1000台生産できるはずなのに、結果として900台しかできない場合
能率90%になります
ですので、もう一つの生産台数の決め方は
④(労働時間ーロスタイム)×(能率)も考慮して1日の生産台数を計算
ホント、各工場、考え方が異なるので、話を聞く方は大変です
この前提が異なれば、会話がかみ合いません
それぞれの計画の決め方の特徴
それぞれの決め方、どれが正しいのかは会社の実力によって変わるかと思います
トヨタ様のように、部品供給も、設備メンテ、品質も極めた工場の場合、①の方法でいいのかもしれません
でも、普通の工場はそうはいきません
日々、なんらかのトラブルが発生します
それを考慮した計画にしないと、少しのトラブルで生産が遅れて、お客様に約束した出荷納期を守れなくなります
でも、やりすぎて④のような考えで計画立てると、スムーズに生産ができた時、モノを作りすぎて在庫が増えたり、
作るものがなくなり作業者を遊ばせてしまうかもしれません
せっかく、ロスを減らすための活動をしながら、生産がスムーズにできたために、生産ができない=これも大きなロスですよね
何やっているのか、わからなくなります
どうすればいいの
結局どうすればいいの??
という話になるのですが、
「しっかり工場の実力を見て、適切なロスを見込む」
ってことにしかならないかなと
実力もない中、休憩等の決められた停止時間しかロスを認めない①の考え方で計画では、毎度生産が遅れて、お客様に迷惑をかける状態になるのはよくないですね
「適切なロス」をどう考えるかということになるのですが、最低でも、実力よりは少ないロスを見込むことが必要かと
でも、私個人の考えでは、①の考え方か、せめて③の切り替え時間のロスだけは含めて計画を立てるべきかと
なぜか!!
「ロスの見える化」をしたいから
計画の生産台数を達成できれば、皆、「問題なし」の判断になってしまいがちになります
そうなると、実際はいろんなロスや問題を含んでいるのに、改善が進まなくなります
ですので、生産未達により「なぜ生産を達成できないのか?」を全員が考える体質に持ってくには①や③の考え方が良いと考えます
この時、問題になるのが、「遅れたらどうやって挽回する?」
これは、追加残業で対応するしかない
残業したらコストあがります
でも、スムーズに生産して時間余らせるのと、とっちががええ??
ということになります
スムーズになって、工程を止めるより、残業減らすためにスムーズに生産する方がモチベーション上がるような気がするのですがいかがでしょう
追加残業をしっかりKPIにして、改善すべき指標として取り組んでみませんか
まとめ
工場の生産計画を立てるときのロスの見積もりをどこまで織り込むかについて、私見を述べてみました
ロスの折り込みは最小限にして、生産台数を達成できない=ロスが発生していることを皆が自覚し改善に結び付けたいです
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