工程品質を何で保証するのか=「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」で保証しましょう

ものづくり

工場は工程の品質を何によって保証するのかと聞くと一番に帰ってくる答えは「検査」

しかし、答えは検査ではありません

「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」で保証します

検査で工程品質を保証してると思っていませんか?

「工程不良が減らない」と悩んでいる工場責任者の方は多いのではないでしょうか

いろんな活動で対策していると思います

工程品質を改善するために「慢性不良」と「突発不良」では異なるアプローチが必要
「工程不良が減らない」と悩んでいる工場責任者の方は多いのではないでしょうか そのアプローチはいろんな考え方がありますが、今回は「慢性不良」「突発不良」に分けた改善活動について考えてみます

活動の前提として、

工程で

「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」

による品質保証ができる仕組みになっているか

を確認してはいかがでしょうか

現場のリーダーに

「何で品質を保証しているか」

質問すると、私の経験上一番多い答えは

「検査」

これをこの答えを聞くたびに「検査で、なぜ保証できていると言えるのか???」

スゴイ違和感あります

開発でも、「設計」で品質を保証するのではなく、「評価」で品質を保証すると考えている人が多く、同質の問題を感じます

【商品開発】設計検証で設計の正しさを確認:「評価結果が規格内だから問題なし」は危険「バラツキ持ってませんか?」
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【新商品開発にかかわる人たちへ】品質を確保するために設計者がするべきこと
品質を新商品開発段階で如何に保証するかで悩んでいる設計者は多いと思います。この記事では新商品開発段階で品質を保証するために設計者がするべき5つのポイントを述べたいと思います

「確かに、検査項目に関してはOKであることを保証できるけど、商品自体、もしくはその工程の完成品を保証することにならなないんじゃない?」

と、話しすると、ここで会話が止まります

知らなければ、これ以上の答えを期待しても無理です

検査項目に関しては「合格」。これで製品全体を保証できるのか?

それやったら「商品の性能に関わるところすべてを検査や!!」

それなら、保証できる・・・・

なんか、違いますよね

そしたら、何で保証するか

「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」で保証する

が答えです

(注) これは、あくまで製造での保証であり、会社全体での保証となると、開発部門は「正しい設計」で保証しなければなりません

「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」

「設計が正しい」という大前提に立った場合、

製造はその設計者(開発部門)からのアウトプット(=図面・仕様書)通りに作ることで、品質を保証します

逆に言えば、図面通りに作れば、必ず良品になる設計を設計者はしなければなりません

(これは本テーマと少しずれますので、ここでは語りません)

図面通りにモノを作るために必要な要素が

「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」

というわけです

正しい部品

「正しい部品」とは図面通りの部品、仕様書通りの材料・部品等になります

これを保証するためには、

その部品を構成する部品・材料が正しく、正しい道具を使って、正しい作業をしなければなりません

話が堂々巡りなりますねm(__)m

あとの正しい道具、正しい作業で詳しく話すとして、正しい部品についての最も言いたいこと

「正しい部品で組み立てる」=「前工程は正しい部品を供給する」 と同じ意味

サプライヤーには厳しく品質ことを言う工場責任者も、自分の工場の前工程には甘く、不良品を供給しても仕方がないような工程管理をしている場合もあります

「各工程は品質に責任をもって、次工程に送る」=これ絶対

社内だからと言って、甘えたらダメです。厳しく管理しましょう

そのためにも「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」です

もう一つ、部品検査、

出荷検査と受入検査があります

ある工程(サプライヤー含む)が次工程に部品を送るときの検査が出荷検査

前工程(サプライヤー含む)から部品を受け取るときの検査が受入検査

前工程が、品質を確実に保証できるなら、受け入れ検査は不要ですね

だって、既に品質は前工程で保証されてますから

つまり、品質を各工程で確実に保証できれば、受け入れ検査は不要で、その分コスト削減になります

品質向上=生産性向上となります

【工程品質の改善】生産性の改善が工程の品質を向上させる
工程で発生頻度が低い不良が多項目にわたる場合、ひとつひとつの不良に対応するのは困難。こんなときは工程の生産性改善が品質改善につながります

部品検査項目をどう決めるかも重要

検査をしなくても、品質を保証できるのが理想ですが、何らかの確認は必要な場合は多いです

かといってすべての寸法を検査するのは合理的ではありません

どの寸法を検査すれば、どの性能を確認すれば、その部品の保証ができるのか

製造部門、開発部門、品質保証部門がしっかり話し合って決めなければなりません。

基本的な考え方としては

・バラツキが大きい寸法や性能値

 いくら正しく組み立てても、バラツキは発生します。そこポイントを定常的に管理する

・その部品を保証する際に、最も有効と思われるポイント

 例えば、

 -成型プラスチック部品なら、全体の長さを検査すれば、個々の形状は目視確認で保証できる

  -プレス金属部品なら、曲げ加工の部分の寸法を押さえる

 -モータならその出力

そして、検査データを積み上げ、常に「傾向管理」し変化点がないかを日々確認

検査は、品質を保証するためにするのではなく、工程に何か変化が起きていないか見つけるため

と考える方が正しいです

正しい道具

道具??

金型、設備、治具等のことを言います

常に正しい道具で生産活動ができているか点検することが重要です

しかし現実、不良が発生してから、道具に異常が無いか確認始めることが多いです

発生してからでは

・不良を相当数流しているため、流出の可能性が出る

・仮に不良品の流出を止めても、不良品を処分しなければならない

・その間の、生産した時間、人、材料は全てムダ

・さらに、設備の修理中、工程が止まる、もしくは別の商品に切り替えることでさらにムダ発生

といことで、正しい道具で組み立てるためのメンテナンス、および日常点検は重要です

異常が発生する前に、定期的に道具をメンテする

計画的に、消耗品の交換、日常点検では確認できないクラック、ネジのゆるみ、オイル不足を確認し異常を発生させない活動

設備未然防止活動としては「TPM活動」が有名ですね

ご存じない方はぜひググって調べてみてください

計画的なメンテナンスならば、生産計画もそれに対応しやすいですね

突然発生する道具のトラブルは、対応も大変です

計画通りに生産できず、お客様に迷惑をかけるかもしれません

これも、品質と生産性を両立させる事例です

さらに、重要なのが日常点検

どのような項目を点検すれば正しい道具で生産できているか考え作業標準で明確にしましょう

点検した上で、日常メンテとして、まし締め、給油、清掃が基本になります

これをすることで、作業者自身が道具に触れ、感覚に異常を感じることができるようになります

正しい道具で生産するために

・毎日道具を点検し「道具が正しく動作しているか」を確認

・その前提として、何を、どのように、どれくらいの頻度で確認するかを作業標準で明確にし、記録を残す

・メンテナンス計画に基づいた定期的な消耗品の交換をおこない、さらに日常点検でクラック、ネジのゆるみ、オイルレスを確認

これをできる仕組みづくりをしましょう

あと、道具が正しくなくなる理由

・寿命

・メンテナンスの後の再組立て

・過大な負荷

メンテナンス計画やチェックリストで管理し、突然発生するトラブルを発生しないように未然に防ぎましょう

品質を保証する目的で話しましたが、設備故障の観点でも同じです

正しい作業

間違った組み立てをしたら、当然商品は不良になります

当たり前っちゃ当たり前ですが、その当たり前を実行しにくくする環境があります

・わかりにくい作業指示

・難しい作業

・サイクリック(繰り返し)にできない作業

等がそれになります

よく、不良が発生した時の理由に

「作業者が新人で作業を間違った」

対策

「再教育した」

との、報告があります

倒れそうになる瞬間です

なぜ、「新人が作業を間違ったか」に対する分析がない(泣)

教え方が悪かったのか、作業が難しいのか、部品がわかりにくいのか・・・・・

そこに、フォーカスして改善する必要があります

〇わかりにくい作業指示

正しい作業をするためには第1に正しい作業のやり方を教えることが大前提です

これも当たり前ですが、人が入れ替わったりして、おろそかにするケースは多いです

ポイントは二つ

・まずは教える人間(現場リーダー)の教育から始めましょう

 リーダーに教育することの重要性を理解し

・伝えやすいツール(作業標準書)を準備する

 特に、「作業標準書」は重要です

 「誰が見てもすぐわかる標準書にする」

 これ1番大事、図や写真、場合によっては動画を使った標準書を準備しましょう

〇難しい作業

難しい作業が多い工程はやはりミスをしやすく不良を作りやすいです

また、バラツキの原因となり品質が安定しません

作業者が簡単に、熟練でなくてもできる作業にすることが重要です

・設計段階から難しい作業にならないように配慮する

これ良く製造と開発でモメますね

「設計段階から製造が入り込む、設計者も製造に問題がないか聞きに行く」

両者のこの姿勢が大切です

DRとかで実施するのを標準にするのが普通ですが・・・・

設計の対応が難しい場合もありますが、単に「サソイを付ける」「位置決めリブをを付ける」程度の簡単な配慮で対応できる場合すら見落としている場合もあります

・治工具・設備を事前に開発する

設計でどうしても配慮できない場合は、治工具・生産設備開発を行いましょう

量産間際になって、組み立て難い、品質を確保できないって。製造でもめないように事前に検討しておくことが重要です。

〇サイクリック(繰り返し)にできない作業

作業者の作業が安定的なサイクリックな繰り返し作業をすることで、品質が安定します

毎回、部品の向きや、組み立て報告を気にしながら組むとサイクリックではなくなります

作業者が、ほとんど無意識で、半ば反射的に作業ができる状況が理想です

・部品の配置場所、置き方を決める

部品がどこにあるかを考えたり、いちいち、組み立ての方向を確認していてはいけません

ノールックで部品を取り組み立てられるくらいの配慮をしましょう

当然、右手で組み立てる部品を左側に置いたりするようなことも、サイクリックをしにくくします

・部品を取りやすくする

例えば、リード線のような細長い部品

部品ケースに無作為に入れると絡みあい、作業者が非常に取りにくい

そこで、サイクリック作業をできなくします

このような部品は、部品ケースを工夫し、同じ方向に列を作って並べて供給する配慮が必要です

・部品の供給を安定させる

部品が切れると、作業が止まります

また、部品が切れそうになると、作業者はそっちに気を取られ、最悪の場合、部品を取りに持ち場を離れます

これではサイクリックな作業ができません

まとめ

工程で品質を保証するための「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」について話しました

決して「検査」で品質を保証するのではないと言うことを、まずは理解してください

そして、製造メンバーは商品の開発初期段階から開発に入り込み、

「正しい部品」「正しい道具」「正しい作業」での生産が実現できるように、開発部門やサプライヤーと一緒に活動しましょう

あと、最後に

これらの品質を保証する活動は工程の生産性の向上と一致します

【工程品質の改善】生産性の改善が工程の品質を向上させる
工程で発生頻度が低い不良が多項目にわたる場合、ひとつひとつの不良に対応するのは困難。こんなときは工程の生産性改善が品質改善につながります

品質保証と生産性向上を両立させていきましょう

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