ものづくりに関する記事を書いています
最近、中小企業診断士受験レポートが多かったので、久しぶりにものづくりの話です
工場では、KPIがやたら出てきます(工場に限りませんが)
そして、従業員たちはKPIの目標値達成に向けて日々改善をがんばってくれています。
そのKPIの目標設定やその達成にこだわる注意点について私の考えを書いてみます
KPIの役割
KPIは「Indicator(指標)」として
「社内の活動の目標値を設定し、それを達成することに向けて皆頑張る」
って感じのイメージが多いように思います
(これはこれで重要です)
会社によっては、外資系なんかは当たり前にKPIの目標値が達成度合いで給与やボーナスが決まる場合もあるようです
私、どうもこの使い方が好きになれないんです
目標値の重要性は理解しているつもりですが、
KPIは目標設定のためのものではなくて
「今、行っている課題解決活動の正しさを図る物差し」
と考えているからです
あくまで「Indicator」で
「目標値を達成したらOK」というものではない
ということに注意すべきです
現場力強化に向けた課題解決の話はこの記事を参考に
話を戻してKPIの使い方ですが、意味を図にすると、こんな感じ
現状をよくするため誰しも日々課題解決活動(改善活動と言ってもいいです)を行っていて
その活動が「上手くいったどうか=成果」を測る「Indicator」って意味が分かってもらえると思います
その、「Indicator」の目標値設定は必要ですが、
「目標値にこだわりすぎると、目標値を達成したらOKとなり、ベストを目指さない危険性がある
これが私が言いたいことです
あくまで「この活動が成功したらこの目標値が達成できる」
もしくは「この目標値を達成するためには、これだけの活動が必要だ」
て、考えて設定するものだと思っています
つまり、この目標値に達成しない場合、
今の活動が目標を達成するために適切だったのかをレビューするための指標
になります
私は、むしろこのレビューが重要だと思っていて、
報酬の指標にするとかはあんまり正しい気がしないです
個人的には
「目標値」に重点を置くと、「目標値達成したらOK」
この雰囲気を作るのが良くないと考えています
「KPIが悪化しているが目標値を達成しているのでOK」
このような報告を度々聞いてきているのでそう感じています
もう少し詳しく後程述べます
KPIおよび目標値の設定
一通りKPIの意味を考えたところでKPIおよび目標の設定について
日々の仕事中で気になっていることを皆さんと共用してみます
■まずはKPIの設定
これは単純ですが、実は難しい
今の活動の成果を正しく測れる指標であることが重要です
工場でしたら、ある程度生産性や、不良率や定番の指標がありますが、
その指標と活動が直接的に繋がってであればいいのですが、そうでない場合もいろいろあります
例えば
工場長としては、「工場全体の生産性」みたいな指標でいいかもしれませんが
現場リーダーは「各ラインもしくは各商品の生産性」こっちの生産性の方が重要です
でも、現場リーダーが工場全体の生産性をみて評価することにあまり意味はありません
工場長としては、「工場全体の生産性」を改善しようとしたら「各ラインもしくは各商品の生産性」までレビューする必要がある場合もあるでしょう
その場合もまずは、全体を俯瞰してから個別に見るのが一般的と思います
■目標値の設定
次に目標値の設定
下の図は、ある工場でのKPIのデータです
縦軸に指標、横軸は月です
棒グラフは「量」、折れ線は「率」を表せています
棒グラフの色訳は、要因別に分けています
このような場合よくパイチャートが使われるのですが、
私はパイチャートはあまり使わないように指導しています
理由は、時系列の変化がわからないから・・・(参考まで)
あと、「量」「率」を重ねることも指導しています
どちらか一つで、現状を表すのが難いように感じているからです
このグラフの考察をすればいろんなことを言えるんですが、それは別の機会に・・・
このグラフの目標値、私が最も嫌う設定の仕方です
目標値は「率」(折れ線グラフ)の目標値です
普通によく見ます(これは低いほど良好なKPIです。例えば不良率)
特に年度ごとに目標値を設定している会社でよく見かけます
何が問題か
この図でいえば
・22年度初め(4月)に達成した目標値を1年継続
・22年度に既に達成している値より悪化している目標値を23年度に設定している
かなりひどい事例です
年度単位で目標設定するとこうなります
1年は長いです
1.まずは、どのタイミングで目標値を達成するか、時間軸の目標が必要です
普通、年度代わりに急によくなることは無いですね
2.目標値を達成できたら新たな目標値の設定が必要です
既に、そこまでの活動が成功して目標が達成しているのですから、
新たな活動で達成するべき目標値が必要です
私なら、下の図の青線のように目標値を設定しますが皆さんは、どのように考えますか?
KPIの目標値にこだわるもう一つの弊害
ここで最初のグラフにもどります
赤い丸部分に注目
目標達成にこだわると、どうなるか
23年6月7月8月の状況を「OK」と判断しています
「目標を達成してるから・・・・」
これの考え方を、私強く否定します
なぜか、
(目標値の設定も悪いですが)
先月より悪化していることに問題意識を持たないからです
これ、普通にあります
何度指導しても
「目標値に達成しているのに何文句あるねん」
って顔されます
私は、KPIもしくはKPIの目標値にこだわりすぎるとこうなります
ここには「改善の継続」の概念がありません
ですので、トヨタは当たり前に言っているようですが
「改善し続ける文化」の醸成が重要
であること訴えています
まとめ
KPIの目標値の設定と考察の仕方について書いてみました
・目標値の考え方
活動成果を測れるものになっているか
・目標値の設定の仕方
改善を継続することを前提に時間軸も意識した目標値設定になっているか
・改善を継続できている考察ができているか
前回のレビュー(日時、週次、月次いろいろあります)に比べてどうか
良化しているなら、活動の成果が出ているのか、環境の変化か?
悪化しているならその理由
以上なことを考えてKPIと付き合って、いい工場に成長させていきましょう
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